断熱窓メーカー3社座談会一覧へもどる

ZEHを始めとする住宅の高断熱化が進む中で、家の中で最も熱の出入りの激しい窓においても、高断熱製品の開発が進んでいます。今回は、窓メーカー3社の営業担当者様、開発担当者様にお集まり頂き、お話を伺いました。
断熱窓メーカー座談会
2列目左から:YKK AP(株) 営業本部 課長 金川様、開発本部 室長 宮川様、三協立山(株) 関東住宅建材支店 課長代理 吉川様、技術開発統括部 主事 三浦様、(株)LIXIL 埼玉支店 山岸様、LIXIL HOUSING TECHNOLOGY 主幹 小佐野様/1列目左から:マテックス(株) 村山、平泉
取材日時:2016年9月7日

【目次】★クリックすると各ページに飛びます
一押しの高断熱窓は何ですか?
トリプルガラスは、今後標準化していくのでしょうか?
高断熱窓の出荷目標を教えて下さい。
樹脂窓は劣化しないのでしょうか?
高断熱窓が高くて採用できない、という声に対してご意見をお聞かせください。
20年前から日本でも樹脂窓は発売されていたのに、なぜまだ多くがアルミ製なのでしょうか?
高断熱窓は今までの窓に比べて重いのですが、軽量化への取り組みはありますか?
重たい窓を開けやすくする工夫は、何かされていますか?
ガラス交換などのアフターメンテナンスには配慮していますか?
高断熱窓の拡販戦略を教えてください。
断熱窓メーカー座談会開発担当の方ならではのお話を伺える貴重な座談会となりました。関東圏では、まだまだアルミサッシが主流ですが、2020年を目掛けて高断熱窓へ切り替えを検討して頂ければと思います。
 

一押しの高断熱窓は何ですか?

YKK AP 樹脂窓(*1)「APW330」の樹脂スペーサー(*2)仕様です。スペーサーも樹脂であることで、結露の軽減などに、より大きな効果を発揮します。
三協立山 アルミ樹脂窓(*3)の「アルジオ」です。断熱性能だけでなく、耐久性・水密性を強化した「タフネス」と、お客様の使い勝手に配慮した「カインドネス」をキーワードにしています。
LIXIL ハイブリッド窓「サーモスX」です。こちらは北海道から沖縄まで、どの地域にもおすすめです。首都圏であれば、新発売のハイブリッド窓「サーモスL」が一押しです。アルミサッシ「サーモスS」よりも性能は大幅に上がるなか、同じ定価でご提供できる戦略商品です。
断熱窓の種類
*1 樹脂窓…サッシ(窓の枠部分)が全て樹脂製。断熱性能は、アルミ窓の2~3倍。
*2 スペーサー…複層ガラスにおいて、2枚のガラスの間を保つための部材。アルミ製と樹脂製がある。
*3 アルミ樹脂窓…LIXILでの呼称はハイブリッド窓。サッシがアルミと樹脂の複合。断熱性能は、アルミ窓の約1.5倍。
 

トリプルガラスは、今後標準化していくのでしょうか?

LIXIL 小佐野様YKK AP 全国で見ると標準化まではいかないと思います。日射熱取得とのバランスも考えなければなりません。Low-Eトリプルガラス(*4)になると、日射熱取得(*5)も抑えられてしまいます。
三協立山 弊社の樹脂窓の出荷数の中でペアガラスとトリプルガラスの割合は、8対2です。性能の差は、価格差と比べるとそこまで大きくないため、普及は限定的です。ただ、寒冷地の住宅や、感度の高いお客様向けには必要とされる製品です。
LIXIL ZEH(ネットゼロエネルギー住宅)(*6)においては、ペアガラスで十分数値がクリアできます。2020年までは、標準化はないでしょう。

トリプルガラス入り樹脂窓*4 トリプルガラス…ガラスが3層になっている高断熱ガラス。右画像 参照。(YKK AP APW430)
*5 日射熱取得…ガラスが太陽の日射をどのくらい通すかということ。日射熱取得が低いと、遮熱性能が高い。
*6 ZEH(ネットゼロエネルギー住宅)…使うエネルギーと創るエネルギーが等しくなる住宅。省エネ基準よりも断熱性能が高い。

 

高断熱窓の出荷目標を教えて下さい。

YKK AP 2020年までに、樹脂窓40%、アルミ樹脂窓40%を目標としています。
三協立山 2020年までに、樹脂窓12~13%、アルミ樹脂窓50%を目標に挙げています。2020年というのは、建材トップランナー基準を2022年に控えた中期的な目標値です。
LIXIL 同じく、2020年までに、樹脂窓、アルミ樹脂窓あわせて70%を目標としています。樹脂とアルミ樹脂は分けていません。2013年度の実績では、樹脂窓が6%、アルミ樹脂窓が30%でした。

 

樹脂窓は劣化しないのでしょうか?

樹脂窓 20年経過YKK AP こちらは、我が家で実際に使われていた樹脂窓の一部です。20年経っていますが、ほとんど劣化していないのが、おわかりいただけると思います。樹脂窓に使われているPVC(ポリ塩化ビニル、塩ビ)という素材は、土の中に埋められている水道管と同じです。洗濯バサミやポリバケツなどに使われているPP(ポリプロピレン)とは耐久性が違います。実際に赤道付近のアジア圏でも使用されています。また、弊社の製品では、表面にアクリル加工をしているので、紫外線による色落ちも防ぐことができます。
LIXIL 樹脂はアルミと比べて変色が5倍早いといわれていますが、発売して20年経った製品でも大きな変化は現れてはいません。ただ、今後の懸念として、紫外線による劣化が挙げられます。2016年夏の東京は、ヨーロッパではありえないほどの紫外線量を記録しています。パリやベルリンでは、最高でも指数7でしたが、東京では指数11を記録しました。ヨーロッパの樹脂窓メーカーでは、紫外線対策として樹脂をアルミで覆った製品も作られています。今後、日本でも対策が必要となるでしょう。

 

高断熱窓が高くて採用できない、という声に対してご意見をお聞かせください。

YKK AP まずは、普及率を上げることが先決だと考えています。また、お施主様には、長く住んでいく中での、光熱費削減や医療費削減といったランニングコストに目を向けていただき、結果的にお得である、ということをお伝えしたいです。金額に変えられない快適性にご満足頂いているという声も届いています。
三協立山 同じく、まずは流通量を増やしていけるか、が大切です。そのほかの視点ですと、たとえば、枠が組み上がった完成品では積載効率はあまり好ましくありません。そういった製造工程や流通の中で、将来的にコストダウンを考えていかなければならないですね。
LIXIL 現在、9種ある商品シリーズを数年で集約していくことで、生産的なコストダウンが可能です。東京オリンピック後、新築戸数が激減する中で、製品の原価だけでなく、工場の操業コストや物流コストも見直していく必要があります。ただ、YKKAP様と同じく、目先の建築コストだけでなく、4人家族で年間25,000円かかる光熱費がゼロになるというように、イニシャルコストで考えてほしいと思います。
断熱窓の省エネ効果

 

20年前から日本でも樹脂窓は発売されていたのに、なぜまだ多くがアルミ製なのでしょうか?

三協立山 三浦様YKK AP 弊社の場合、グループ会社でアルミ合金のファスナーを開発した流れから、アルミ主体で進んでいったということもあります。
三協立山 窓の素材は、元々木で始まってスチールになり、アルミになっていきました。少し年配の方に樹脂窓の話をすると「プラッスチックでしょ?」と言われてしまいます。樹脂はプラスチックであり、安い工業製品であるというイメージも影響しているのではないかと思います。
LIXIL 20、30年前は樹脂を押し出す技術が今ほどはありませんでした。アルミが一番扱いやすく、加工しやすい素材でした。今のような複雑な造りができるようになったのは、最近のことです。
YKK AP 窓種の違いもあります。日本の窓は引違い窓が主流ですが、海外ではそうではありません。
三協立山 海外には引違い窓がほとんどないため、単純な翻訳だけでは、樹脂窓を作る技術を持ってこられなかったのかもしれません。

 

高断熱窓は今までの窓に比べて重いのですが、軽量化への取り組みはありますか?

ガラスの重さ 概算LIXIL トリプルガラスに関しては、真ん中のガラスを1.3ミリにすることで、従来よりも2割以上軽くすることができています。防火窓については、開発が進む中で部材を小さくしたり省いたりすることで軽量化が可能です。ただ、製品については構造上限界があるので、YKK AP様が既にやっているように、完成品で現場に届けるなどの配慮の方が、これからは必要だと思います。弊社でも荷揚げ用の機械などを工夫しています。
三協立山 やはり製品側でできることは限界があります。たとえば、使われているスチールの量を減らしたとしても100gほどの軽量化で、皆様が求めているような大幅な軽量化は難しいです。恐らく配送の工夫で対応していくことになるでしょう。
YKK AP 窓というのはガラスで重くなっているので、複層ガラスでトリプルガラス並みの性能が出せれば、軽量化できるだろうと思います。まだまだその技術は検討できていませんが。

 

重たい窓を開けやすくする工夫は、何かされていますか?

把手の工夫YKK AP 初期稼働5?以内という数値が規定されています。開ける際に5?の力が必要ということです。
三協立山 5?というのは、実際には、かなり重たいです。
LIXIL 弊社の防火戸FGについては改良がなされており、大型把手をオプションで採用できます。また、後付けできるようにもなっています。
YKK AP 弊社では、大開口の窓には、開けやすくできるように、ハンドルのほか戸車も工夫しています。
三協立山 開閉力を上げるには安全性にも配慮する必要があります。商品の開発において「軽くすること」と「住まい手の安心」の両輪で商品的な価値を向上させていかなくてはならないと考えています。
LIXIL 弊社では、サービス付高齢者向け住宅の対応にも力を入れているため、センサー付の窓なども開発しています。

 

ガラス交換などのアフターメンテナンスには配慮していますか?

框と押し縁YKK AP 樹脂窓「APW330」については、障子交換で対応しています。窓を「面」で考えているため、サッシ框(*7)は溶着されていて、ガラスのみの交換はできません。トリプルガラス入り樹脂窓「APW430」は、ガラスを押し縁(*8)で固定しているため、ガラスのみの交換ができます。
三協立山 樹脂窓については、同じく溶着しています。ガラスとサッシ框を流通店が組立できるノックダウン式は、製品シリーズでいうと一世代戻ることになります。アルミ樹脂窓の「アルジオ」は、ガラス交換できます。
LIXIL 弊社の樹脂窓は溶着方式ではないため、ガラス交換が可能です。ガラス無しの「半完成品」という指定で出荷することもできます。ただし、「サーモス」シリーズについては、旭硝子と共同開発しているため、アンカー式グレチャン付という、専用のガラスが必要になります。

*7 框…右画像参照。
*8 押し縁…右画像参照。

 

高断熱窓の拡販戦略を教えてください。

YKK AP 宮川様YKK AP 品川にオープンした体感ショールームを大いに活用して頂きたいです。建て主様に予算組み前の検討段階でご来場頂き、高断熱窓の良さを実感してもらえればと思います。また、弊社が主催するAPWフォーラムでの講演をまとめた書籍『あたらしい家づくりの教科書』が先日出版されました。新築を検討されている方におすすめの一冊です。
三協立山 高断熱窓が各社から販売されている現在、建築業者様は断熱性能については、ほとんど理解されています。弊社の「アルジオ」は、断熱性能の話はさらっとさせていただき、耐風圧や水密性など、断熱とは違う観点でPRしていきたいと思います。省エネ区分6、7地域である九州のビルダー様にも標準仕様で採用頂いている、という実績もあります。
LIXIL いい家づくりの中でいいサッシを、というように設計の最初の段階から、高断熱窓を検討していただきたいです。弊社では、設計をお手伝いする外皮計算サポートを無償で提供しています。遮熱性能を満たすためにシェードなどの遮蔽部材を提案できるところが優れています。