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環境先進国ドイツの窓に学ぶ

環境先進国ドイツの窓に学ぶ

今泉大爾氏窓コラム⑤

今泉大爾氏窓コラム⑤ (第5回-2013/12/26更新-)社団法人日本エネルギーパス協会の代表理事である今泉太爾氏は、エネルギーパスを広く一般に普及し、持続可能なまちづくりを目指すことを目的に活動をしています。特に「ドイツ」の環境政策に深く精通しており、日本への普及の橋渡し役として活躍しております。 エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。「窓」は家の燃費を考える上でかかせない、非常に重要な部分です。 このコラムは、環境先進国として注目をうけるドイツのエネルギー戦略や法制度から見えてくる日本の住宅がこれから向かうべき未来について、窓の重要性と合わせて多くの方に知っていただきたい、そんな想いをこめた企画です。   【第五回】窓リフォームで、快適でお財布に優しい生活を! メイドインジャパンは高性能? 日本とドイツの窓を比較するとその差に非常に驚かされます。 一般的にメイドインジャパンといえば高性能の代名詞のはずなのですが、窓の断熱性能に限っては様子が違います。 現在ドイツで販売されている窓の断熱性能には最低基準があり、U値1.3以下のものでなければ人が住む所には取り付けることができません。(U値とは小さいほど断熱性能が高く高性能であるという意味) さらに、2014年にはU値の最低基準がU値1.0以下に引き上げられます。 一方日本の窓には、断熱性能に関して最低基準がありません。 そのため大半の新築住宅で現在使用されている窓のU値は4.65(アルミサッシペアガラス6㎜)であり、およそドイツの4~5分の1しか断熱性能がない低断熱な窓が使用されています。 ちなみに、未だに金属製のフレームの窓をメインに使っている国は、冬に暖房を使う地域では日本だけでは無いかと思います。 金属製のフレームの窓は防火や耐久性の観点では優位性があるが、断熱性能においては不利であり、世界的に住宅の省エネルギー性能が重要視されるようになった昨今では、日本以外ではよほどの事情がない限り使用される事がなくなっています。   なぜ日本とドイツでこれほど窓の断熱性に差が? 熱を大切に使おうという思想の欠如 それは、冬は寒いから「断熱をして熱を大切に使う」という思考を持つドイツと、冬もそんなに寒くないから寒かったら服を着ればいいじゃないかという日本との価値観の違いと言えるのではないでしょうか。 とはいえ、日本でも徐々に生活が欧米化しており冬には暖房を焚いて快適な室内空間を確保しようという流れが加速しており、住宅内のエネルギー消費量が右肩上がりに上昇しているため、今後は欧米に習って、断熱性能の高い家づくりが必要とされています。 ではまずはどこから手を付けたらよいか?それは、住宅において最も熱の出入りが多い箇所である窓なのです。例えば冬に家から逃げていく熱の約半分が窓からなのです。また、夏に家に入ってくる熱の7割以上がこれまた窓からです。つまり、もし日本でも熱を大切に使おうと考えた場合、第一に検討すべきは窓の性能向上になります。それほど重要な窓の断熱性能が世界で最も低いため、日本の住宅は夏暑く冬寒い…。どう考えても「熱を大切に使おう」という思想が欠けていると言わざるを得ません。   断熱性能の低い住宅におこる健康の問題  話は少し飛びますが、住宅の断熱性能が低いとどのような問題が起こるのか? 実は、住宅の断熱性能が低いと、室温が低いために命の危険が高まります。特に冬になると増えるのが、循環器系や呼吸器系の疾患、そして家庭内における不慮の事故などです。 例えば2012年、1年間で4,200人もの方が浴室で溺死されておりますが、その大半が冬に集中しています。寒ければ服を着ればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、お風呂に入るときは服を着ることができませんし、肺には服を着せることすらできないため、不慮の事故や呼吸器系の疾患は、住宅の室温を上げないとなかなか改善することは難しいのです。 また、近畿大学の岩前篤教授の研究では、住宅の断熱性能と健康の関係が指摘されています。「冷えは万病のもと」という言葉をご存知の方も多いと思いますが、なぜか住宅の室温に気を遣う方が少ない日本。 健康と住宅の断熱性能の関係は、冷静に考えるとごく当たり前のことなのだと思います。 では、健康で快適な生活を手に入れるためにはどうすれば良いのか? それは住宅が、冬には高い断熱性能、夏には暑い太陽の日差しを遮る日射遮蔽性能を持つ必要があります。この断熱性と日射遮蔽性の向上に最も効果的な対策が窓の性能向上にあります。 例えば、断熱性能向上と日射遮蔽を両立するには、LOW-Eガラスが効果的。ドイツではリフォームの際に交換されるすべての窓ガラスがLOW-Eガラスになっています。 日本でも、窓ガラスをLOW-Eガラスに交換したり、内窓を取り付けたりすることで、夏涼しく冬暖かい住まいを比較的簡単に手に入れることができます。 新築するのであれば、必ず高断熱LOW-Eガラス、そしてフレームは樹脂製または木製が今後の住宅ではスタンダードになるでしょう。 住宅省エネルギー化の世界的セオリー 日本では、あまり知られていませんが、世界の常識として、住宅の省エネ性能を高めていく時のセオリーがあります。 1)建物の躯体の品質(必要エネルギー) 2)給湯や冷暖房などの設備の高効率化(最終エネルギー) 3)再生可能エネルギーによる創エネルギー(一次エネルギー) この3つの手法を上から順番を守りながら住宅の高性能化を図っていくことが、グローバルスタンタードな家づくりの常識です。住宅の高断熱化は将来のエネルギーコスト上昇への対抗手段としても有効です。2003年から2013年の10年間で、灯油1Lの価格は1.7倍に上昇しています。世界中でエネルギーの奪い合いが繰り広げられており、今後もエネルギーコストは上昇の一途をたどると考えられますので、家庭のエネルギー消費量の大半を占める、住宅の省エネルギー性能の向上は必要不可欠なものであるといえます。 「住宅の省エネ化」は内需を拡大する 最後に少し広めの視点から。日本のエネルギー自給率はわずか4%程度しかなく、大半は中東などのエネルギー資源国からの輸入に頼っており、私たちの光熱費の大半は海外に流出しているともいえます。 自分たちが頑張って稼いだお金が、海外に吸い上げられていくのは我慢がなりませんね。ヨーロッパの国々が省エネリフォームを推進している最大の理由は、せっかく稼いだお金をエネルギーコストとして海外に流出させるのではなく、住宅への投資に振り替えることで、非常に大きな内需拡大効果が発揮できるからです。 また、省エネリフォームに投資した住人は、光熱費削減によって高い投資効果を得ます。ただ銀行に眠らせているよりも。おまけに健康で快適な生活も確保しながらです。 エネルギー自給率の低い我が国にとっては、「住宅の省エネ化」とは、低金利で眠らせている個人預金を地域経済活性化に活用する最高に優れた内需拡大システムなのです。 どうせ払うのなら、海外に吸い上げられるよりも、内需拡大に使う方が景気も良くなります。金は天下の回り物、景気拡大の観点からも、できる限り国内で循環するほうへの投資を優先させる必要があります。 最後までお読みくださった皆様には、ぜひ自宅の窓の断熱リフォームに投資することで、光熱費削減による高い利回りと、健康で快適な生活を手に入れていただければ幸いです。 窓のリフォームで、健康で快適、ついでにお財布にも優しい生活を!

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今泉大爾氏窓コラム④

今泉大爾氏窓コラム④ (第4回-2013/8/27更新-)社団法人日本エネルギーパス協会の代表理事である今泉太爾氏は、エネルギーパスを広く一般に普及し、持続可能なまちづくりを目指すことを目的に活動をしています。特に「ドイツ」の環境政策に深く精通しており、日本への普及の橋渡し役として活躍しております。 エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。「窓」は家の燃費を考える上でかかせない、非常に重要な部分です。 このコラムは、環境先進国として注目をうけるドイツのエネルギー戦略や法制度から見えてくる日本の住宅がこれから向かうべき未来について、窓の重要性と合わせて多くの方に知っていただきたい、そんな想いをこめた企画です。   【第四回】省エネリフォームで活気づくドイツの地域経済 国土の長期展望 2011年2月に「国土の長期展望」という国土交通省が示した非常に優れた資料があります。 ご興味のある方は是非チェックしてみてください。以下のURLよりダウンロード可能です。 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000030.html 「国土の長期展望」によると日本の総人口というのは、2050年には約9,500万人と、現在から3,000万人以上大幅に減少してしまうとさています。しかも、これはもうすでにほぼ確定しており、もし人口減少に対して対抗するのであれば、1980年代位から少子化対策をしっかり取り組んでおかなければなりませんでした。世帯数に関して核家族化が進んでいるとは言え、2015年から2020年頃から減少していくということが予想されています。 今までの日本は、新築中心の高度経済成長モデル。 高度経済成長期に日本中で住宅や道路、橋などを作り続けてきました。この今まで作ったインフラは老朽化してきますので、維持するためにはリフォームしなくてはなりません。ところが、この維持コストだけでも2030年以降は、今まで新築+維持にかけてきた予算以上にコストがかかってくるようになり、全部は維持することができなくなります。つまりこれから行われる事は、どの地域を残し、どの地域を捨てるか、を決めなくてはならないタイミングに差し掛かっています。 新築中心の高度経済成長モデル依存で増え続ける空き家 余っていく日本の住宅 日本の住宅産業は未だに新築中心の高度経済成長モデルから脱することができず、減ったとは言え、毎年約80万戸以上の住宅を新築しております。高度経済成長モデルで新築住宅を続けてきた結果として、作りすぎた住宅がどんどん余って溜まり続けています。今現在では5,000万世帯数に対してストックが5,700万戸以上、約800万戸近くの住宅が空き家になっています。住宅が余っているのに作り続けている状態というのは、前回のコラムでもお伝えした通り、ワルラス的調整状態であり、地域の資産価値は下落し続けることになります。 需給バランスをとるドイツの都市計画 一方ドイツの場合、需要と供給のバランス合わせるために、都市計画等で住宅の供給量をしっかりコントロールしています。2009年現在の世帯数4019万世帯に対して、住宅のストック数は4,018万戸。住宅は余っていません、というよりも余らないように行政によってコントロールされています。新築住宅は必要な場所だけに建設させる、つまり人口動態を確認しながら、世帯数と人口が増加している地域でのみ新築させるようにしています。 そして、その際に単純に新築の住宅数を制限するだけの政策をうってしまうと、建設雇用が激減してしまいます。そこでドイツでは新築住宅を減少させるタイミングと合わせて、リフォーム需要を上げていくような政策を同時に行っています。例えば2000年前半頃からは、新築住宅に対しては補助金や金利優遇、金利免除などの支援策はほぼ廃止されています。非常に省エネ性能が良い住宅にだけ、ほんの僅かな利子免除があるだけ。一方、リフォームの場合は補助金も利子免除も金利優遇も非常に手厚くなっています。リフォームの場合も省エネ性能が上がるほど、補助金や利子免除が増加します。しかも新築よりも、リフォームローンの方が金利も低くなっています。 このドイツの住宅政策は、古典経済学的にはマーシャル的調整というモデル。需要と供給をバランスさせることができれば、価値が安定する。つまり、世帯数と住宅ストック数のバランスをとることによって、その地域の不動産価値を安定化させているのです。価値が安定化していると、住宅の所有者は資産価値をさらに向上させるため、リフォームに対する意欲が非常に高まります。その結果、ドイツと日本の2010年度の建設投資額を比較してみると、日本よりも人数も世帯数も少ないドイツの方が、建設投資額が大きくなっています。地域の不動産価値を安定させ、同時に建設投資額を増加させるには、現在のような新築中心の高度経済成長モデルから、ドイツのようなリフォームを中心とした先進国モデルへの転換が急務となっています。 成熟化した社会構造に適合したドイツの住宅産業 キーワードは「家の燃費」 日本では新築中心の高度経済成長モデルを未だに続けており、新規建設投資額に対して新築は62%(約13.8兆円)リフォームはわずか8.4兆円、しかもこの大半が住宅ではなく、ビルなどの非住宅。こと住宅においては新築一辺倒であり、リフォームでの再投資が、ほとんどなされていないというのが如実に表れています。一方ドイツの場合、全体の約76%がリフォーム。新築投資というのはわずか24%(568億ユーロ)しありません。そして注目すべきは省エネリフォームが全体の26%(613億ユーロ)、日本円にすると約8兆円もあるということです。しかもこの省エネリフォームという市場は、ここ最近意図的に政府によって作り出されたものです。 どうしてこれだけの市場を作り出すことができたのか?それは「家の燃費」という概念がポイントとなっているのです。 省エネリフォームは光熱費の単年度建設投資 簡単に言うと、省エネリフォームというのは海外に流出していた20年分の光熱費を、ギュッと圧縮し、単年度の建設投資に変えるスキームといえます。例えば、日本の場合毎年20兆以上の化石燃料を海外から購入しています。このごく一部でも省エネリフォームに投資することができれば、例えばほんの1%2000億円を省エネ住宅に投資させることが出来れば、「1000億×20年=4兆円」の市場が作り出せます。この省エネリフォームへの投資を誘引していくという政策は、これ以上環境政策として、そして経済政策として優れたものはないと言われている大ヒット政策です。ですから、リーマンショック後にドイツ連邦政府が最初に打ち出した緊急経済対策は断熱リフォーム補助金の積み増しでした。また、住宅所有者にとっては、省エネ住宅というのは投資です。昨今のエネルギーコスト上昇の影響で、「家の燃費」を計算してみると、低金利で銀行に預けているよりも、省エネ住宅に投資した方が、圧倒的に利回りが高いのです。省エネ住宅政策とは、地域で眠らせていた個人預金を地域経済活性化に活用するすぐれたシステムなのです。 例えばドイツ経済研究所の箱研究によると1ユーロの助成金を出すと民間等で約7.1億ユーロの投資が誘引されるつまり、使った金額の8倍の経済効果を持っていると発表しています。そして助成金を100万ユーロに対して以下の効果が確認されています。 A. GDP500-1,180万ユーロ(90%が地域の中小企業) B. 雇用100-217人(同じく中小企業) C. 社会福祉削減効果100-220万ユーロ(失業手当や生活保護など) D. 税収増加88-200万ユーロ(消費税や所得税など) 国や地方自治体は税収等が投下した補助額の数倍の税収や支出削減効果がある。つまり、この省エネリフォームへの補助金は原資が無尽蔵となるので、省エネリフォーム需要がある限り、補助金は出し続けることができます。だからこそ、ドイツ連邦政府は省エネリフォーム市場を現在の毎年40万世帯から、120万世帯まで拡大し、2050年までにすべての住宅を高断熱化すると発表しています。つまり、海外に流出していた化石燃料を原資として、省エネリフォーム市場を拡大させ、現行でも約8兆円位の市場を倍以上まで拡大し、向こう30年間以上やり続けるということを明言していることになります。 日本でも同じようなことが十分実現可能です。日本の住宅というのはほとんど断熱化されていません。次世代省エネ基準という、国の推奨基準の住宅はストック数の5%に満たないとされています。つまり、5,000万戸以上の断熱リフォーム需要が存在しています。ドイツと同じ政策を日本で制度化することができれば、瞬時に200兆円もの建設需要が生まれ、向こう40年間にわたり年間10兆円以上の省エネリフォーム市場を作り続けることも可能です。その際にまず既存の住宅で最初にやるべきは、夏も冬も最も熱の出入りの多い窓。つまり、日本の既存住宅では、まず窓に内窓をつけていく、または高性能ガラスに交換していくことから始める必要があります。また、これから新築するのであれば、最低でも樹脂サッシレベルは選びたいところです。でないとある一定の時期が来たらリフォームを強制される可能性は拭い去れませんので。

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今泉大爾氏窓コラム③

今泉大爾氏窓コラム③ (第3回-2013/7/9更新-)社団法人日本エネルギーパス協会の代表理事である今泉太爾氏は、エネルギーパスを広く一般に普及し、持続可能なまちづくりを目指すことを目的に活動をしています。特に「ドイツ」の環境政策に深く精通しており、日本への普及の橋渡し役として活躍しております。 エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。「窓」は家の燃費を考える上でかかせない、非常に重要な部分です。 このコラムは、環境先進国として注目をうけるドイツのエネルギー戦略や法制度から見えてくる日本の住宅がこれから向かうべき未来について、窓の重要性と合わせて多くの方に知っていただきたい、そんな想いをこめた企画です。   【第三回】エネルギーパスとストック住宅の今後 超短命な日本の住宅事情  日本で戦後に建てられた木造住宅の寿命は約30年、国土交通省の統計データでは26年とされています。色々な統計データがありますが、おおむね30年で建て替えられているのが一般的。では世界基準で見るとどうでしょうか?アメリカ60年、ドイツ80年、イギリス100年、日本の2〜3倍は当たり前。ちなみにドイツは80年ですが、統計上ですと第2次世界大戦で大半が焼失してしまったからだそうで、実際には築数百年で現役の建物が数多く存在しています。  さて、ではなぜ日本の家だけこんなにも寿命が短いのでしょうか?答えは実にシンプル、長持ちするように造っていないからです。デザインやコストダウン、集客手法などの目先の物事ばかりに目が行ってしまい、長持ちするような設計や高耐久建材の開発・採用に取り組む業者は少数派。世界的に見てもまれなほど高温多湿な環境を持つ日本で、長持ちする家を造ろうと考えたら、それなりの手間とコストがかかります。しかし、長持ちさせる意味を顧客に説明することが難しいため、住宅の高耐久化に消極的です。反対に、家を安く作る事だけを考え、長持ちしない安い部材を使い、技術の未熟な職人に手間を削らせ、工期を詰めて造れば実現可能であり、安売りには説明も不要。残念なことに最近では初期コストは安いが短命な家造りが多く見受けられます。 日本では少子高齢化が進みいよいよ人口減少期に入り、住宅購入者が減少して需要が縮小しています。そんな中で短命なローコスト住宅が量産されると、需要と供給のバランスが崩れ、市場原理により地域全体で住宅価格が下がり続けます。これを古典経済学ではワルラス的調整と呼びます。住宅の高耐久性や省エネ性能などを犠牲にしたコストダウンと、行き過ぎた新築至上主義は、ほんの一握りの建設業者の利潤や住宅購入者の初期コスト低下のために、社会全体の住宅所有者の資産価値を犠牲にするという不合理な活動ともいえます。しかも当の本人も燃費やメンテ費用などのランニングコストで結局経済性も無いという落ちまでついているため、まさに「安物買いの銭失い」の代表といえます。 余談ですが、ヨーロッパでは数100年使える住まいが当たり前であり、次世代はリフォーム費用だけを負担する事で住居費を抑えることが一般的です。世界一勤勉とされている私たち日本人が、30年で無価値になる家にセッセとお金をつぎ込んでいる姿は、非常に滑稽に見えるのだそうです。  (クリックで拡大します) 日本のストック住宅の対策 既存住宅の長寿命化及び性能向上には、耐震、省エネなどの建物の品質向上のためのリフォームが不可欠です。ところが日本においては、建物検査の仕組みが未整備の為、耐震性や維持管理を築年数で安易に評価しています。例えば木造住宅では30年で寿命と考えて、不動産価値評価を築年数で区切ってしまう考えが一般的。住まい手としては寿命の短い既存住宅への投資を躊躇してしまいます。そのため、耐震や断熱などの住宅品質向上のためのリフォームが思うように進んでいません。 住宅の寿命があと何年もつのかということを心配するのではなく、あと○○年間もたせるにはどこを直せばよいのか、というスタンスでリフォームを考える必要があります。 また、環境保護の観点から見ると、最低限度必要な「家の寿命」というものが見えてきます。一例を挙げると、日本の森林では木が柱などの家の構造材となるまで成長するのに、最低60年間以上はかかります。60年以上の年月をかけてようやく育った木材で建てた家を、たったの30年で壊して捨ててしまうというのは、資源の無駄遣いにほかなりません。 木材を再生可能な資源として最大限活用するため、また、持続可能性の観点からも、木造住宅の寿命は最低でも60年以上として大切に使っていくことが社会的に求められています。 限りある資源を大切に使い、出来るかぎり既存住宅を活用してリフォームしていく。どうしても新築する必要がある場合には、これからの社会に必要となる、インフラとして価値のある住宅、つまり高耐震、低燃費、高耐久な住宅(できればデザインも良く)だけを新築し、社会インフラとして次の世代へと継いでいく。「持続可能性」こそが、これからの家づくりの基本テーマではないでしょうか。

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今泉大爾氏窓コラム②

今泉大爾氏窓コラム② (第2回-2013/5/27更新-)社団法人日本エネルギーパス協会の代表理事である今泉太爾氏は、エネルギーパスを広く一般に普及し、持続可能なまちづくりを目指すことを目的に活動をしています。特に「ドイツ」の環境政策に深く精通しており、日本への普及の橋渡し役として活躍しております。 エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。「窓」は家の燃費を考える上でかかせない、非常に重要な部分です。 このコラムは、環境先進国として注目をうけるドイツのエネルギー戦略や法制度から見えてくる日本の住宅がこれから向かうべき未来について、窓の重要性と合わせて多くの方に知っていただきたい、そんな想いをこめた企画です。   【第二回】エネルギーパスとは? 日本で住宅の省エネ性能向上が遅れている原因は?  日本以外の先進国では必ずと言ってよいほど、断熱の規制や厳しい義務基準が設定されています。ところが、日本だけが断熱性能に対する義務基準が設定されていない状態です。なぜ日本だけ住宅の断熱基準の義務化が進められていないのか?その原因が何なのかを探っていくと、建物の燃費というものが計算されてこなかった事が主な原因なのではないかと思うようになりました。当たり前の話ですが現状がわからないと改善のしようがありませんし、目標もたてられません。 住宅以外の商品には、家電や自動車に年間の予想燃費が明示されています。新規に購入する場合や、買い替えの際には、この表示されている予想燃費は大きな判断基準となっています。燃費が分かれば光熱費を予測することができるため、買い替え判断基準として大きな要素となります。 東日本大震災後、日本中でエネルギーが不足しており、全国的に電力料金の値上げが進んでいます。そのため多くの人々が、住宅の省エネ性能として日々支払っている光熱費がどのくらいかかるのかを気にするようになりました。住宅は生涯で最も高価な買い物にもかかわらず、基本性能である燃費が表示されていない。今思えば、これ以上不思議なことは無いのではないでしょうか。 エネルギーパスの役割と日本での必要性  前回のコラムでお伝えした通りドイツでは毎年3%近くの経済成長を続けながら、CO2排出量の削減を実現しています。そんな環境先進国ドイツにおける建築物に関する省エネ対策には大きく2つの政策があります。 1つ目は新築の分野に関しては2020年度以降CO2をほぼ排出しない、化石燃料にほとんど依存しないという住宅以外は新築できないようになります。しかしながら新築がCO2を排出しなくなっただけでは、2050年度95%削減には全く足りません。 2つ目は、約4,000万戸ある既存住宅の省エネ化の促進。既存住宅の省エネリフォームが必須となります。年間3%約年間120万戸ずつ改修し、2050年までに全ての住宅への省エネリフォームを完了させようとしています。  成熟した先進国の最大のテーマは「既存住宅の省エネ化」をいかに促進させるかといえます。そして既存住宅の省エネ化のために作られたのが「家の燃費」という概念、すなわち「エネルギーパス」なのです。 不動産価値基準としての家の燃費  日本ではまだ意識されていない「家の燃費」ですが、ヨーロッパでは「エネルギーパス」が義務付けられており、家を借りたり、購入する際、その家で1年間暮らす場合に必要な冷暖房エネルギーと給湯エネルギーが表示されているので、そこから年間の光熱費を予測することが出来るので家を選ぶ上で大きな判断基準となっています。そのため、燃費の悪い家は、賃料がその分安かったり、販売価格が安かったりします。住まい手は、賃料だけでなく光熱費までトータルして住まいに対しての支払額を考えることが出来るため、より自分に合った住宅を手にすることが当たり前に出来る社会になっています。 たとえば、地球環境保護に貢献したいと考えている人は、ちょっと位賃料が高くても、できるだけCO2排出量の少ない住宅を選ぶことが出来、住宅にかける費用をできるだけ抑えたいと考えている人は、賃料だけでなく燃費も考慮してトータルで最も安価な家を選ぶ事が出来ます。 当然、大家さんや売主さんは、できるだけ高く貸したり売却したりしたいため、居住者が重要視している「家の燃費」を出来るだけ向上させようと、日々研究してリフォームしているので、低燃費な家が数多く増えています。  日本においても同様であり、新築だけではなく現在5,760万戸存在する既存住宅をいかに省エネ化していくかが、これからの最大のテーマであると言えます。住宅産業に携わる私たちは、新築のゼロエネ化を早々に実現し、出来るだけ早く既存住宅の省エネ化へと軸足を移していく必要があります。

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今泉大爾氏窓コラム①

今泉大爾氏窓コラム① 社団法人日本エネルギーパス協会の代表理事である今泉太爾氏は、エネルギーパスを広く一般に普及し、持続可能なまちづくりを目指すことを目的に活動をしています。特に「ドイツ」の環境政策に深く精通しており、日本への普及の橋渡し役として活躍しております。 エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書です。「窓」は家の燃費を考える上でかかせない、非常に重要な部分です。 このコラムは、環境先進国として注目をうけるドイツのエネルギー戦略や法制度から見えてくる日本の住宅がこれから向かうべき未来について、窓の重要性と合わせて多くの方に知っていただきたい、そんな想いをこめた企画です。 環境エネルギー先進国ドイツ フクシマ原発事故の影響で、日本中がエネルギー不足に陥り、今では国民的にエネルギー問題が議論されています。 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの全量買い取り制度や、2022年までに脱原発などと、その議論の際に必ずと言ってよいほど登場する国が環境先進国と言われるヨーロッパの大国ドイツです。 ドイツでは京都議定書の規準年である1990比で2009年段階で既に25%のCO2削減を実現し、2020年には40%削減を予定しています。 しかも、経済成長率は年2〜3%の経済成長とCO2削減の両立を実現しており、今日本で議論されているような、「経済成長を目指すならCO2削減目標を下げなくては?」などという議論はドイツでは旧世代的なモノとなっています。 ドイツはいかにして環境先進国になったのか 世界最先端の環境先進国としてドイツが環境政策を進めている原因の一つとして、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故の影響が大きいようです。 この原発事故は政治にも大きなインパクトを与え、環境問題を最重要課題とする「緑の党」はチェルノブイリ後に躍進し、ドイツの重要な政党として、環境政策に大きな影響を与え続けています。 今やエネルギー消費の25%近くが再生可能エネルギーになり、発電量は既に原子力を上回っています。 他国の出来事であっても、国民が自分事ととらえて、政策に反映していくドイツの民度の高さには驚くばかりです。 他にも環境政策というよりは、化石燃料を海外から購入する量を減らす為、経済政策(海外に飛んでいく化石燃料費を設備投資として国内にまわす)および安全保障政策(中東等の政治不安定な地域へのエネルギー依存の脱却)として省エネ・再生可能エネルギー推進を推進してきたという面も有ります。 これからドイツが目指すところ ドイツは先ほども述べた通り、京都議定書の規準年とされる1990年比で、2050年には95%削減を決めております。しかも、日本のようにアメリカや中国等の他国が削減するかどうかによって目標値を変えたりはしません。 この95%削減というのは世界で最も意欲的な目標であり、目標を実現する為には全業界全業種において全力で取り組まないととても実現出来ないようなものであるため、具体的にどこでどの位削減するかを細かく割り振って、10年スパンで各政策に落とし込まれています。 一方われらが日本では、残念ながら1990年比で年々CO2排出量を増やしております。そして2050年には80%削減を掲げてはいるものの、具体的な方法や中期目標は掲げておらず、空白となっております。当然、具体的な政策や道筋は示されていません。 長期、中期、短期で目標を掲げ、それを実現させる為の個別のアクションプランが無ければ、増え続けるCO2排出量の削減等出来るはずも無いのですが、残念ながら日本では超長期目標のみが存在するという状況です。 日本はドイツから何を吸収すればよいのか? 日本がドイツから何を学ぶべきかは、日本とドイツの主要な経済指標の比較を行うとおのずと見えてきます。 国民一人当たりのGDPは日本が4.6万ドル、ドイツが4.5万ドルとほぼ同程度、つまり国民一人当たりの個人能力はほぼ同程度です。 ところが、集団になるとそのパフォーマンスに歴然とした差が出てきます。 直近10年間の平均経済成長率は日本 – 0.47%/年、ドイツ 2.73%/年。 そして一人当たり政府借金額も、日本 9.5万ドル/人、ドイツ 4.1万ドル/年と二倍以上の差となっています。 日本とドイツの差は国民の能力差ではなく、国家の運営システムの差といえます。 世界でも制度を作るのがトップクラスで巧いドイツと、どちらかといえば巧い方ではない日本、という制度設計力の差が見て取れます。 日本とドイツは同じ敗戦国であり、戦後一からの出発で経済発展を遂げ、現在はモノづくりで外貨を稼いでいる、一つ一つコツコツ取り組む真面目な国民性など共通点が多くあります。ドイツの制度を参考にすることで、日本でもドイツと同じような経済成長と環境負荷低減の両立を実現することは十分に可能ではないかと感じます。 実は、既にそのような動きは始まっており、2012 年7月からスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」(略称FIT)というものがあります。これはドイツで生まれ、世界50カ国以上で採用されている自然エネルギー普及促進制度です。再生可能エネルギーはドイツの政策をお手本にスタートしましたので、これから急速で進んでいくと思われます。 次は建築部門における省エネルギー政策である「エネルギーパス」を中心とした、建築物の熱需要抑制政策をお手本にしていくことが必要ではないでしょうか。

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